あけましておめでとうございます

僕はよく、「風」という言葉を使います。
それは物理的な風だけでなく、
心の真ん中から吹くイメージのような風のことです。

「こころの思いに自分を乗せて風とともに進んでゆく」

みなさまにも今年一年、いい風が吹きますように!

2017年 元旦

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ヨット・アマナ号の陸揚げ&船底塗装

アマナちゃんお化粧直し!
地上へ!
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アマナちゃん、水浴び&アカスリでご機嫌!
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プロペラもきっちり磨いてつるぴか
+魔法のペラクリン塗装!
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時期がずれましたがようやく船底塗装ができてほっと一息。
さあ、どこまで乗っていこう。

海族便り 徳島市ケンチョピア

写真 (1)風速12mの南風を背にギュインギュインに走り和歌山から四国徳島港に一気に滑り込む。
港の入口で帆を下げエンジンだけで40分ほど川を上りハーバーへ向かう。
が、
エンジンがくすぶり黒っぽい煙をぷはっと吐いてスコトントンと止まった。
そう止まった。
再びかけるけど、回転数が上がらずまた止まる。
かける、止まる、かける、止まる。
同乗しているうちの奥さんも眉間にシワを寄せて微笑む。
ああ、エンジントラブルのスパイラルにまたハマるのだろうか。
エンジン載せ換えとオーバーホール計2週間50万円の去年の記憶がネットリまとわりつく。

どうにかだましだまし7km先のケンチョピアマリーナのビジター桟橋にヨットをぶつけるようにつけた。

事前に連絡していた地元徳島ヨットクラブの前会長の加村さんが迎えてくれアマナ号をつなぐのを手伝ってくれる。
挨拶もそこそこに、
「エンジンがダメです、近くにヤンマーのお店ありませんか?」とすがって聞いてみる。
どうにか今日中に直して明日出港しないと尾道の講演会に間に合わない。
「県で一番大きいヤンマーがあります。すぐいきましょう!」
助かった!
ヤンマーの事務所に転がり込むとかっぷくのいい工場長のクールなお言葉。
「ゴールデンウイーク明けで忙しくて来週にならないと無理ですね。」
「なんとかお願いできませんか?」
「申し訳ないですがちょっと難しいですね。」
よし、わかった。方針を変えよう。
「自分でやります、直し方教えてください!」
気の毒に思ったのか修理担当の人を呼んでくれ来てくれたのが勝浦さん。この人が素晴らしい人で、症状を説明すると言葉は少なく全然笑わないけど的確に直す箇所と順番を丁寧に教えてくれる。知識もめちゃくちゃ豊富だ。
説明がわからないときは正直に伝えると、工場にあるエンジンのところまで行きわかるまで教えてくれる。
「ありがとうございます。やってみます。」

さー、今までの経験総動員だ!
船に帰って工具箱を手にする。
まず燃料系のチェック。
燃料タンク、燃料フィルターを見てみるとやはりドロっと水が入っていた。
この船の欠点なのか、どうやら船首にある給油口から海水が入ってしまうみたいだ。
前回の故障の原因もこれだった。2週間50万円の記憶がまた点灯。
それでも、燃料系の詰まりの可能性もあるのでタンクから噴射ノズルまでの道筋のホースを外し、ボルトを外し、一箇所ずつ息を吹き詰まりがないかを確かめる。口の中に軽油の味が広がる。
できることはやってみた。
願いを込めエンジンをすべて磨く。
そして祈るようにかけてみる。
かかった!
一瞬喜んでみたもののギアを入れるとやはり回転数が上がらず悲しくエンジンが止まる。
「ダメか。」
直らなければ尾道行きが間に合わない。
こういう時はあきらめが肝心!
仕方がない講演会には陸路で向かうことを決めその日は工具をしまう。

次の日はわりかしスッキリと目覚め、またしてもヤンマーに駆け込み勝浦さんを探す。
症状を伝えると次の修理の段階をわかりやすく説明してくれる。
本当にいい人だ。
忘れないうちに、ヨットに戻り再び工具を握り締める。

エンジンが止まる原因で行きあたったのが噴射ノズルの不具合。
圧力をかけた燃料を霧状に噴射する場所だ。
自分で外したことがないから一瞬ためらったがひと呼吸して思いきって外す。
見るとノズルの先の針にサビがある。
これか、原因は!
早速、ヤンマーの修理工場へすっ飛んで行き勝浦さんにノズル部分を見せる。
「チェックしてみましょう!」
と噴射状態を測る機械にセットして圧力をかけるがノズルからは一ミリも噴射されない。
「完全に固まってますね。これじゃ動かない。」
どうやら、2気筒のうち1つのシリンダーは燃料が噴射せず爆発していなかったのだ。海水が入った可能性が高い。
予備で持っていたノズルを勝浦さんに渡し噴射チェックをしてもらう。
今度は大丈夫だ。微調整をしてくれ手渡してくれた。

早速ヨットに帰って注意を払って取り付ける。
よし、今度こそ!
そっとエンジンをかける!
ブルンと回る!回転数もなめらかに上がる!
ギアを入れても今度は止まらずストトントントン・・・と軽やかに力強く回り続けてくれる。
やった!
そらお仰ぎ見る!
エンジン復活だ!直ったのだ!何がうれしいって、自分の手で直せたことだ!
今までの壊れたら機械屋さんに直してもらう当たり前から、これからは自分で直せる自信へと変わった瞬間だ!
このエンジンの音をつまみに酒が飲める。

卒業試験のようでもあり何かひとつ向こうに超えたような気がした。

結局、尾道の講演も長崎諫早の葦船学校にもヨットで行くのは間に合わなくなってしまったけどそれはそれでいい。すべてが終わってから徳島に取りに来てのんびり帰ればいい。
きっとそこに何か意味があるのだろうから。

すがすがしい気持ちでいつまでもエンジンの音に耳を触れていた。

海旅一座長崎旗揚げ夜話会

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■2014年 長崎~福岡~島根~山口の新春海旅芸人巡業

「海旅一座 長崎旗揚げ夜話会」

テーマ「海旅から賜ったもの」

話士
洲澤育範(皮舟大工)
「時を行く舟」
高沢進吾(エスキモー猟師見習い)
「海を喰らう」
鈴木克章(シーカヤック海洋冒険家)
「海気の向こう側」
石川仁(葦船海洋冒険家)
「草の船で海を舞う」
 
■日時 2014年2月1日(土)  
開場 17:00 開演 17:30~20:00

■参加費 ¥1,500(飲み物付き)
小学生以下は無料

■場所「長崎シビックホール」
住所 長崎市常盤町1-1
メットライフアリコビル1F
電話 095-822-8161
アクセス
路面電車「市民病院駅」下車徒歩3分
駐車場 近くにコインパーキングあり

■担当・問合せ申込先 
石川仁 090-9345-5372 

■講演内容

海旅のスペシャリストたちが、長崎の地より海の手紙をお渡しいたします。

・洲澤育範(皮舟大工)
「時を行く舟」
海から生まれた命は海へ還りたい、海を旅したい。われわれの血の奥底に眠る海洋ほ乳動物の記憶を呼び覚ます道具、それが革舟・カヤック、それが皮舟・バークカヌー。
http://elcoyote1990.com/

・高沢進吾(エスキモー猟師見習い)
「海を喰らう」
アラスカ北極圏イヌピアック・エスキモーの町「ポイントホープ」に通い始めで20余年。クジラ猟に参加すること10数年。時代とともに変化し続ける文化と、今に続く伝統を吸収したいと今も通い続けている。
http://homepage1.nifty.com/arctic/

・鈴木克章(シーカヤック海洋冒険家)
「海気の向こう側」
手漕ぎ舟日本一周の海旅のお話。一人ぼっちで海を漕ぎ続けた25ヶ月間。 左足はどこまでも連続した野生へ。右足は現代日本社会へ。 軸なる私はその様な環境の中で、何を思い何を感じたのか。そして何を伝えたいのか。
http://hirumanonagareboshi.hamazo.tv/

・石川仁(葦船海洋冒険家)
「草の船で海を舞う」
人類が作り出した最初の乗り物とされる葦船(あしぶね)で海を渡る。まるでタイムマシンのように数千年前まで感覚が戻されていく海旅。そこにはむき出しの自然と戦い、そして抱き合うドラマがあった。
http://kamuna.net

アマナ号の帰港が、房日新聞のトップニュー スに掲載されました。

アマナ号の帰港が、房日新聞のトップニュー スに掲載されました。

http://www.bonichi.com/
南房総安房地域の日刊紙 房日新聞: トップ 平成25年(2013年)9月10日 次は「太平洋横断」へ葦船冒険家石川仁さんヨットで日本一周し館山に帰港

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海族便り~千葉県館山港より~

日本を回る旅を終え、無事に館山港日の出桟橋に到着しました!

僕らの住むこの日本は
優しく、
美しく、
誇りに思える、
海に抱かれた島々でした!

お世話になった皆さま、
応援してくれた皆さま、
心から御礼申し上げます!

ありがとうございました!

ここから新たな旅立ちをはじめます!

カムナ葦船プロジェクト
石川 仁

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海族便り~函館港から下風呂港へ~

まさかまたトラブルに見舞われるとは誰が予想するだろうか!

そのぐらい津軽海峡は穏やかな朝だった。

朝の陽が眩しい。
離れ難い気持ちが詰まっている。

函館の港は優しかった。
出会う人みんな暖かかった。

街もお洒落で賑やかだった。
歴史もあり、華やかな街だった。

また、来よう。
三泊四日の短いが深い深い北海道島の滞在の記憶は美しい。

函館のみなさま本当にありがとうございました!

静かな海を渡る。
3日前から葦船の仲間のユウがアマナ号に合流している。
彼にとっては処女航海だ。

西からの風に帆を上げる。
ヨットに乗っているのに、最近エンジンがエンジンがと言い過ぎたよ、ホント。
僕らのエンジンは、風を受ける帆だ。
そう、もしかすると原点に帰るためのトラブルだったのだろうか。

流れる風にふくらむ帆は観ていて美しい。

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それにしても津軽海峡を流れる潮の速さは半端じゃなかった。
向かう方向より50度も東に舵をとる。
初めて舵を握るユウの肩に力が入っているのがわかる。

下北半島を渡りきったころに風が止まった。
直したばかりのエンジンをかける。
一発でかかった!
問題ない。
そうもった。

30分くらいたったころ、ふと排水が気になった。
少し少ないような気がする。

船に潜り込みエンジンルームのフタを開ける。

あぁ、水浸しだ!

冷却の為の海水がどこからか漏れている。
一本一本のホースを点検する。
穴は開いていない。
どこからだ!
どこから漏れているのか!

海の上での修理は可能なのか?
あふれる水をかきだしてみる。

わかった!吸水ホースのジョイント部のようだ。 原因がわかればこっちのもの。

エンジンを止め吸水の元栓を閉じる。

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2年前、初めての航海の初日にホースの破裂で水浸しになった。
一緒に乗っていたヨットの師匠田中さんがてきぱきと揺れる海上で直したのを思い出す。
今度は俺の番だ。
ホースの破裂はあれから2度直した経験がある。
インベラごと外してみると、吸水のホースを止めているバンドが切れていた。
幸い予備があったので丁寧に取り付けた。

エンジンをかける。
なに事もなかったかのようにブルルンルンと調子がいい。

うれしいのは、修理する事になれ始めていること。
壊れても直せる。
直せなかったらセールで走ればいい。
風がなければ待てばいい。

しげさんも、ユウも信頼してくれていた。

そして、事なきを得て下風呂港にちょっとだ け誇らしげに降り立った。

ここには白濁の素晴らしい温泉があるという。

三つの陽に焼けた男の背中が温泉街へ向かった。

海族便り~北海道函館港より~

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エンジンがどうにか直った!

エンジン止まり緊急非難してから一夜が あけた。 まずは、エンジンをなおせるお店を探さ ねば。

朝から漁師さんや町の方々に聞いても函 館漁港 にはヤンマーエンジンの取扱店が ないと言われた。

重い足取りでヨタヨタとだいぶ歩いてた どり着いたヨットハーバー。 わかる人が来るからと言われ待つこと に。

あぁ、この前みたいにはうまくいかな い。 少し猫背になっていただろうか。 ため息と共に待つことに1時間半。

曇り空に一筋の光が差すようにまたまた 天使降臨しました!

伊藤マリンの伊藤さんというメチャク チャ親切な修理屋さんと出会うことがで きた!

伊藤マリンさんはヤマハの代理店なので 本来はヤンマーエンジンは見ることはで きないのだと説明した。 トヨタの人が日産のエンジンを直さない のと同じことだ。

でも、と穏やかに言葉を続ける。

「遠方からわざわざ来ていただいたので すから何とかしましょう!」 と言って、職人さんを連れてアマナ号ま で来てくださったのだ。

有り難い!

職人さんもとても親切で、一つ一つ僕に わかりやすく説明しながら原因を調べて くれる。 結局、原因はピストンオイルの磨耗によ るオイル上がりによる白煙と、燃料フィ ルターの汚れによる詰まりだったよう だ。 フィルターを新しいものに換え、合計三 回目のオイル交換をして添加剤を加え た。 最初のうちはなかなかエンジンがかから なかった。 かかってもの回転数が上がらず白い煙も モクモクだ。 それでも時間をかけてひと通りのメイン テナンスを終える頃にはエンジンも、落 ち込んでたぼくらの気持ちもどんどん調 子がよくなってきた。 有り難い、本当に有り難い。

今回のトラブルはかなりこたえていた。

2週間かけてエンジン載せ替えという大 仕事でかなりエネルギーを使っていたか らだろうか。 さすがに新しく載せたエンジンがその日 のうちに壊れて止まってしまうとは僕に もしげさんにとってもガックリ落ち込む のに十分な材料だった。 本当にこのまま旅が続けることができる のだろうか、と言葉が少なくなっていっ た。

それが、またここでも親切で優しくて、 こころ豊かなありがたすぎる方々と出会 いトラブルを乗り越えることができた。

これが寄せては帰る波なのか。

エンジンの修理を終わろうとした頃、今 度は地元の船関係の社長さんが心配して 来てくださった。

今野社長は地元のヨットマン。 「ここは漁港で引き波が立って揺れるか ら直ったら自分たちのヨット ハーバーに 係留すればいい」 と南北海道外洋ヨットクラブを紹介して くださった。 函館の赤レンガ倉庫の目の前、素敵な ハーバーに修理を終えたエンジンで入 港、今野社長のヨットの隣に留めさせて はもらった。 今野さん、次は風呂だなと言い、銭湯ま で僕らを車で送ってくれた。が、銭湯は 休み。「高くてもいいか?」と観光ホテ ルに車を入れる。 「ちょっと待っててくれ」 とフロントにいくと、 「大丈夫、お風呂は無料だからごゆっく り!」 と、言い残して白いラウンドローバーで ブブーンと走り去った。

トコトンありえない優しさに鷲掴みにさ れ、ただただ頭を下げる。

たくさんの出会いを重ね、日本一周ヨッ トの旅がますます好きになるのは自然な ことだと思う。

かなりこたえたトラブルのあとには、笑 顔のありがたみがガッツリ骨身にしみ た。

明日もう一度、そうもう一度試運転をし て確かめよう!

そして、

いざ太平洋へ!