海族便り~北海道函館港より~

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エンジンがどうにか直った!

エンジン止まり緊急非難してから一夜が あけた。 まずは、エンジンをなおせるお店を探さ ねば。

朝から漁師さんや町の方々に聞いても函 館漁港 にはヤンマーエンジンの取扱店が ないと言われた。

重い足取りでヨタヨタとだいぶ歩いてた どり着いたヨットハーバー。 わかる人が来るからと言われ待つこと に。

あぁ、この前みたいにはうまくいかな い。 少し猫背になっていただろうか。 ため息と共に待つことに1時間半。

曇り空に一筋の光が差すようにまたまた 天使降臨しました!

伊藤マリンの伊藤さんというメチャク チャ親切な修理屋さんと出会うことがで きた!

伊藤マリンさんはヤマハの代理店なので 本来はヤンマーエンジンは見ることはで きないのだと説明した。 トヨタの人が日産のエンジンを直さない のと同じことだ。

でも、と穏やかに言葉を続ける。

「遠方からわざわざ来ていただいたので すから何とかしましょう!」 と言って、職人さんを連れてアマナ号ま で来てくださったのだ。

有り難い!

職人さんもとても親切で、一つ一つ僕に わかりやすく説明しながら原因を調べて くれる。 結局、原因はピストンオイルの磨耗によ るオイル上がりによる白煙と、燃料フィ ルターの汚れによる詰まりだったよう だ。 フィルターを新しいものに換え、合計三 回目のオイル交換をして添加剤を加え た。 最初のうちはなかなかエンジンがかから なかった。 かかってもの回転数が上がらず白い煙も モクモクだ。 それでも時間をかけてひと通りのメイン テナンスを終える頃にはエンジンも、落 ち込んでたぼくらの気持ちもどんどん調 子がよくなってきた。 有り難い、本当に有り難い。

今回のトラブルはかなりこたえていた。

2週間かけてエンジン載せ替えという大 仕事でかなりエネルギーを使っていたか らだろうか。 さすがに新しく載せたエンジンがその日 のうちに壊れて止まってしまうとは僕に もしげさんにとってもガックリ落ち込む のに十分な材料だった。 本当にこのまま旅が続けることができる のだろうか、と言葉が少なくなっていっ た。

それが、またここでも親切で優しくて、 こころ豊かなありがたすぎる方々と出会 いトラブルを乗り越えることができた。

これが寄せては帰る波なのか。

エンジンの修理を終わろうとした頃、今 度は地元の船関係の社長さんが心配して 来てくださった。

今野社長は地元のヨットマン。 「ここは漁港で引き波が立って揺れるか ら直ったら自分たちのヨット ハーバーに 係留すればいい」 と南北海道外洋ヨットクラブを紹介して くださった。 函館の赤レンガ倉庫の目の前、素敵な ハーバーに修理を終えたエンジンで入 港、今野社長のヨットの隣に留めさせて はもらった。 今野さん、次は風呂だなと言い、銭湯ま で僕らを車で送ってくれた。が、銭湯は 休み。「高くてもいいか?」と観光ホテ ルに車を入れる。 「ちょっと待っててくれ」 とフロントにいくと、 「大丈夫、お風呂は無料だからごゆっく り!」 と、言い残して白いラウンドローバーで ブブーンと走り去った。

トコトンありえない優しさに鷲掴みにさ れ、ただただ頭を下げる。

たくさんの出会いを重ね、日本一周ヨッ トの旅がますます好きになるのは自然な ことだと思う。

かなりこたえたトラブルのあとには、笑 顔のありがたみがガッツリ骨身にしみ た。

明日もう一度、そうもう一度試運転をし て確かめよう!

そして、

いざ太平洋へ!