「人類最古段階の長距離航海」を再現する プロジェクト

KIMG0355 (2)

 与那国島で3万年前の舟を復元してきた!
といって、意味が通じるだろうか?
僕自身も3万年前といってもピンと来ないし縄文時代がモダンだという感覚には到底たどり着けるはずもないのだし。
でも、どうやら人類学、考古学の世界では3万年以上前に人類が海を越えて日本列島に移り住んだことが近年の研究でわかっているというのだ!
じゃー、3万年前の舟を復元して実際に航海を再現しようじゃないか!という博物館の研究チームのプロジェクトが立ち上がった。。
簡単に言うとこんな感じだが、本当は世界的に注目されている大真面目な研究だ。
人類学、海洋民族学、海洋考古学、古海洋学、分子人類学、集団生物学、進化人類学、行動生態学、シーカヤックの第一人者、カヤックビルダーの第一人者、探検家、冒険家・・・。日本中のその道の一流の専門家が参加している。
何しろ人類最古の舟を再現して台湾から与那国までの100km以上の海を渡り旧石器時代の時間に触れようとするのだから。
丸木舟、獣皮舟(動物の皮で作る舟)、竹イカダなど先住民が使っている舟が候補に挙がるなか、道具を使わずに長距離航海が可能な葦船(あしぶね)が第一候補となり葦船の専門家の僕が製作者として実際に復元することとなった。
3万年前の舟を復元するのに条件が二つ。一つは現地で手に入る材料を使うこと。もう一つは当時あったとされる道具(簡単な石器や貝殻など)でつくれることだ。
その上で古代の舟を設計しなければならない。責任は重くのし掛かる。
与那国で取れる船の素材は「蒲(ガマ)」を選んだ。秋の終わりにフランクフルトのような穂で有名なあれだ。葦よりも浮力があり手で簡単にちぎることができ与那国の湿原に見渡す限り群生しているのが決め手となった。
そのガマを束ねるのが植物、与那国文化に詳しい地元の方が教えてくれたツタだ。半分に割けば扱いもよく、十分な強度がある。
ガマは十分な浮力があるのは去年実験済み。
あとは、ツタでどうやって船に仕上げるかだ。半年以上考え続けた結果あるイメージが頭で出来上がっていた。ポイントはツタの結び方。いかに強く縛れるか、ゆるまないか、切れないかが重要だ。
あとは葦船つくり20年の経験を駆使し実際に組み上げてみればわかる!
浮かべてみればわかる!
失敗を恐れずまずはやってみる!

12112041_920867924654281_6521376083330630381_n
12208307_920867734654300_3958214637742974341_n
12195977_920868221320918_8024559029887520683_n
3日間かけて試行錯誤の結果、葦船「ナーマ」が誕生した。
地元与那国の祭事のやり方で進水式が執り行われた。
透きとおる無垢の海に古代のロマンを滑らせる。
見事に浮かんだ!
11026212_920868204654253_5460391382512064217_n
12195977_920868211320919_4888033960021322750_n
十分な手ごたえだ。改良の余地はあるものの海を渡れる実感に触れた。
それから、5日間漕ぎ続けいろいろな実験を繰り返しデーターを取った。
草を束ねた古代の舟にまたがって、透明感のある空、海、風に抱かれるのは悪くない。しかも、それが歴史を紐解くことになるのであればなおさらやりがいがある。
今回の旧石器時代の舟作りの再現で僕が感じたことは、おそらく3万年前も今も人間の持っているポテンシャルは変わらないんじゃないかということだ。
限られた条件の中で目標に向けて試行錯誤を繰り返し達成していく。
それは、今も昔も未来永劫変わるまい。
ロマンはエネルギーだ!
そう感じた与那国タイムスリップ・プロジェクトは幕を閉じ、来年までまた計画を練る日々へと姿を変えた。
また、会おう与那国!
来年はこの舟に改良を加え新たな3万年前の古代の舟で与那国から西表島まで漕ぎ渡る計画だ。

*このプロジェクトは現代科学博物館人類学海部陽介氏が提唱する「人類最古段階の長距離航海」を再現する プロジェクトです。
12208433_920868217987585_1971787705882529189_n

熊野あしぶね祭り2015

先週末、熊野あしぶね祭りがすっかりいい感じではじまり、
汗と笑いと山と川と舟が束になり、輪になり、舞い上がった!
今年で6年目のあしぶね作り!
1艘は人が楽しむ為に、もう1艘は本宮大社のお祭りで使う奉納用に。
ああ、熊野の山のイブキと川のキモチが歌う!
一日目は船作り。
10995347_826205634120511_6887713735490409870_n

二日目は川遊び&奉納用の船作り。

11246471_826208364120238_184935560005878659_n
11057475_826221060785635_1974205021550315407_n

11112447_826201927454215_6525937383415372122_n
そして、三日目は10kmの熊野川下りだった、そう念願の!
いつか本宮大社から新宮・速玉大社までを昔のように舟でつなごう!
そんな思いで始まった熊野のあしぶねつくりだが、
浅いところは水量が少ないため本宮からの川下りは毎年諦めていた。
水深20cmとなる浅瀬が10箇所以上あり、ふねが止まれば100mも人の手で引かねばならない。濡れたあしぶねはずっしりと250kg以上の重さとなり下るには困難を極める。
でも、今年は違った。
水量は少ないが無理は承知で川を下ってみよう!
と、雨降りにも関わらず有志が集る。
11224632_826222320785509_7523687809669007906_n
熱い。
1艘のあしぶねと色とりどりの4艘のカヌーとSUPが熊野川に舞った!
11265015_826230287451379_691849627913748637_n
10983363_826232334117841_2034255657323804067_n
10984244_826233014117773_6326350190699762739_n
11053390_826233544117720_6640832713614555786_n
11101611_826230964117978_2340372214561033593_n
10kmの行程のうちあしぶねを引いた距離は合計2kmは超えただろうか、ドライスーツのため汗だくで川に頭をつけて冷やす者もいる。
4時間で目的地の宮井まで漕ぎきる。引きずりすぎてあしぶねを縛るロープが何本も切れていた。それでも清々しい。
今年はここまで。
11248075_826234010784340_4702443047081998075_n
もちろん反省点も少なくない。
でも、諦めずに下った満足感に触れた感じが手にちゃんと残っている。6年越しだ。
来年は熊野本宮大社から熊野速玉大社まで下ろう!
誰もが夢を引き寄せた。
その途端に動き出す。
翌日には新宮の田岡市長、市議会議員、地元のカヌーイベント代表の方々と話しがトントンと進んだ。
どうやら来年、熊野本宮大社から熊野速玉大社までの約30kmをあしぶね、カヌー、和船などが熊野川を下るイベントに大きく膨らみそうだ。
思いはつながる。
果たして熊野川が呼んでいるのか。
たわわに流れていた熊野川を取り戻したい気持ちを真ん中に据えて、思いが集うだろう。
名づけて、
「熊野川・清流復活プロジェクト」

1月18日(日)石川仁トークライブ@淡路島

「海の冒険の話~古代の船で太平洋を渡る~」

数千年前の古代から伝わる葦船(あしぶね)を復元し、大陸間を渡っていた可能性の検証の旅。
コンチキ号のトール・ヘイエルダール氏の意思を継ぎ古代海洋民族の謎にせまる。
現代の海族が語る 心躍る海の冒険談!DDS Leaf Print (3)
講師:石川仁
1967年生まれ 一般社団法人 ONE OCEAN 代表

■日時:1月18日(日)
開場 18:30
講演 19:00〜20:30
交流会 20:30〜21:30
■場所:国瑞彦護国神社会館 兵庫県洲本市山手2丁目1−42
■入場:1,500円  交流会:別途
■問い合わせ&予約連絡:080-2791-3799(上田)earthawake11@icloud.com
■主催:EARTH WAKER /共催 ㈳ ONE OCEAN

五島海のシルクロード芸術祭

のどかに土曜日が訪れ、
すっきり渇きのガマの穂がゆれ、
みんなで束ね、
みんなで結び、
みんなで重ね、
みんなで縛り、
みんなで引っ張り、
みんなで叩き、
みんなで整え、
みんなが母として父として、
生まれた蒲舟。
透明になった海の向こうに雲がゆれ、
BARAKAという名の舟
担ぎ、浮かび、漕ぎ、遊び、舞い、落ち、笑う心地よさ。
翌日は、明け方の刹那な嵐をかわし、
奏で、舞い、唄い、叩き、輪になり、和になり、
祭りの幕がストンと落ちた。
10710904_721345067939902_1614827171706619563_n

1625485_721345817939827_865337773905771351_n

10672175_721547061253036_6852658407160328815_n

10703586_721347531272989_1028115582655692130_n

10689774_721349977939411_7243975532549980368_n

1450319_721349791272763_3519882999891305219_n

TSSテレビ新広島「オトナアソビ」で笹舟作り放映

ロッチさん × 石川 仁 × 笹舟!

本日、新広島テレビで19:00から笹舟作りを 収録したテレビが放映です! 時期がズレてフジテレビ系の全国放送になり ますが先ずは中国地方の方々ご覧下さいね ~!

8月8日(金)夜19:00〜19:57 TSSテレビ新広島

情熱PRESS・FNSソフト工場「オトナアソビ」

http://www.tss-tv.co.jp/jp/programs/spot/press/2014/tokuban/otonaasobi/オトナアソビ8:8123

 

葦船学校@与那国島

葦船に関する講演会・トーク
7月28日(月)19:00~21:00 於:佐久川家

ヒメガマ刈り取り作業
葦船の材料となるヒメガマを刈り取ります。
7月29日(火)9:00~ 於:樽舞(たるまい)湿地
持ち物:カマ、軍手、飲み物
小雨決行、台風の場合は中止

葦船作り
8月6日(水)9:00~ 於:マーナ浜広場
持ち物:カマ、軍手、飲み物
小雨決行、台風の場合は中止

葦船乗船会
8月7日(木)9:00~ 於:ナーマ浜
持ち物:水着、軍手、飲み物
小雨決行、台風の場合は中止

参加費:すべてのイベント無料
主催:与那国いとなみネットワーク
共催:与那国町教育委員会
協賛:資生堂
問い合わせ:0980-87-2002 与那国町教育委員会 村松

葦船学校@与那国チラシ

2万年前の船を復元する! 葦船学校@与那国島~ヒメガマ刈り取り~

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

2万年前の船を復元する!

そんなプロジェクトが与那国で去年3月から始まった。

石垣島の発掘調査で2万年~3万年前の地層から人骨が発見された。DNA鑑定をした結果その人骨は大陸から渡ってきたとわかった。
ではどうやって大陸から石垣島に渡ったのか?
しかも同じ地層から猪の骨も出てきている。
つまり、2万年以上前に人類が船を作り猪などの食料をのせ海を越えて琉球のそして日本の島々に渡って来たことになるのだ!
ではいったいどんな船で海を越えてきたのか?

去年の冬に南山大学で考古学、人類学、地質学、シーカヤックの専門家などの第一人者の方々が集まり、「旧石器時代の船のを復元し実験航海を行う」ための会議が行われた。

船の復元といってもどんな舟のタイプだったのかを検証するために各分野の専門が研究発表をする。
バークカヌーと言われる樹皮舟、
動物の皮を使った獸皮舟 、
大木を削り出したくり抜き舟、
竹を束ねた竹舟、
そんなの専門家の方々に混ざり、ぼくは草を束ねた船「葦船」の話をさせてもらった。

全てに可能性はあるのだが先ずは葦船を実験的に作って与那国で浮かべてみよう。
と、なったのだ。

そして、今回は与那国に大量に自生しているガマ科のヒメガマを使って船を作ることとなったのだ。

昨夜は地元の人たちに葦船の事を理解してもらうために講演会を開いてくれた。

さぁ、来週末の舟作りに向けてこれからヒメガマの刈り取り作業をするため出発だ!

「最初に与那国島を発見した人々」
人類はその長い歴史のどこかの時点で舟を発明し、遠い海上の島を発見して、暮らすようになりました。
そんな人類最初期の航海技術を探る上で、琉球列島そして与那国島が重要であることが、最近の研究で明らかになってきています。
3万5000年以上前の祖先たちが、どんなチャレンジをして与那国島へやってきたの か、その手がかりを探ります。
海部陽介(国立科学博物館 人類研究部人類史 研究グループ長)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

葦刈りの季節です!

葦船(あしぶね)を作ってみたい!

そんなあなたにお知らせです!
すこしづつあったかくなるこの季節、まさに葦(あし)刈りの季節!
そう、葦船(あしぶね)を今年作りたいと思うあなた!
近くの川原や湖畔で葦を刈り取れば材料費はタダ!
濡れないように保管しておけば、いつでも葦船作りができますよ。
春の足音を聞きながら、みんなで葦を刈ってみよう!1723253_591895397551537_279016562_n

・どれが葦(あし)なのか?
・葦がどこにあるのか?
・どうやって刈るのか?
・葦をどんなふうにしばるのか?
・葦の保管の仕方がわからない!

その他葦船作りについてなどの質問がありましたら、こちらにお問い合わせくださいね。↓
http://kamuna.net/?page_id=119

葦船作りについてはこちら
葦船学校の手引き↓
http://kamuna.net/wp-content/uploads/2012/12/ashibunegakkou_tebiki.pdf

カムナ葦船プロジェクト1623751_591895577551519_1160729966_n1689240_591895774218166_789275418_n