夜明け前、午前4時を回ったばかり。空が白みだす時刻だ。
雨も濡れた匂いだけを残して上がってくれた。
いつからだろう、日本が島だと実感したのは。
ラパヌイ(イースター島) の兄貴が
日本のことを、
「お前の島」
と、いつも呼んでいた。
この感覚をポケットに入れて海を渡ろう。
さぁ、低気圧のしっぽに掴まって東へと!
風はまだ強い。
小さく畳んだ帆を広げ、
僕の生まれ育った島、
本州へ!
たまたま立ち寄った玄海灘に浮かぶ宗像大島。
今日は、宗像大社沖津宮現地大祭があるというので出航を1日延ばしお祭りに参加することにした。
「沖津宮遙拝殿」から地元の方々とともに手を合わせた。
宗像大社HP↓
http://www.munakata-taisha.or.jp/html/sangu_syosai.html
壱岐、対馬、隠岐の島、ここ玄界灘に浮かぶ島々は古くから大陸と日本とを結ぶ海のジャンクションであり、サービスエリアであり、避難ができる港を携えた大事大事の島々だったのだ。
どれだけの海の民が嵐や時化(シケ)に合ったときに逃げ込むことで命を助けられただろう。
水や食料を補給できて、命を紡いだだろう。
「ありがたい」
その感謝の思いを伝える気持ちは今も昔も未来もけして変わらずに続いていくことだろう。
僕自身も昨日シケてた海から逃げ込むようにこの港に入ってきたからよーくわかる!
グワングワンに暴れる海原から助けてくれるありがたみは絶対だ。
僕も時代を超えて、ただ手を合わせた。
池島の朝は爽やかに曇っていた。
矛盾しているがそうなのだ。
平戸が見え始める頃から北の風が強くなりフルセール(*)だとキツいのでメインセールをワンポン(*2)に縮め、ジブセールも半分に巻く。
言葉だと簡単そうだけど、強風の中ひとりで走り回っているとあっちこっちぶつけたり、ばたつくセールに往復ビンタを食らって、勘弁してくださーい!となる。(俺もまだまだだなぁ)
風上に向かうのでタックを繰り返してジグザグに進まなければならない。
いつの間にか、
タックタックでくったくた~♪
と意味もなく歌い上げている。
平戸に着くと、もうぐったり。
おまけに背中に激痛が走る。
ヤバいな。
フルセール:帆を縮めずに前も後ろも上げて走る事
ワンポン:帆を一段縮めること。ツーポンは二段縮めること。
海族便り~出航、そして池島へ~
旅の始まりは突然だ。
準備する回転数とあたふた感が遠心力となり、ある一定の力に達した時まさに解き放たれる。
朝からペルー仲間の梶谷ファミリーが見送りに来てくれた。梶やんはバカうまイチゴ農家で穫れたてイチゴを山ほど差し入れてくれた。
梶やん登場でホッと一息。一人では出来なかったマストに登り、トンビがとまって曲げた風見と滑車とジブファーラーのグリスアップ!
ジブセール(船首で上げる三角帆)を高々と上げる出航準備完了!
あぁー、うれしい~!


新しく交換したセルモーターのおかげで一発でエンジンがブルンとかかる。
あぁ、スッキリだ~!
何だか、「ちょっとそこまでいってくるぜ!」とでもいうような軽い感じだ。
ロープをポンとはずし、アマナ号に乗り込み舵を握る。
彼女と梶谷ファミリーが手を振る。
出島の桟橋から少しずつ離れて行く。
さぁ、出航だ!
お世話になったヨットマンの皆様、長崎の仲間の皆様、本当にいろいろありがとうございました!

長崎港から外海に滑り出し帆を上げる。
海面がキラキラだ。
北西の風は柔らかくやさしい。
飛び魚が船を軽々と抜かして飛んでいく。
また、旅が始まる!
「じんさん、好きな事は何ですか?」
と聞かれると僕はいつも、
「初めての体験です!」
と、答える。
そう、「生まれて初めて」が大好物なのだ。
初めて食べた○○!
初めて見た○○!
初めて盗られた○○!
初めて触れた○○!
体験主義の僕は「初めて」に出会うと、
どうしようどうしょう?どうなるどうなる?ドキドキワクワク!鼻息ブンブン!目がギンギン!となる。
そして今日は初めての船底の塗装!
となりました、ハイ。
船底用のペンキは特別な塗料で自己研磨型もしくは自己消耗型はたまた、自己破壊型と呼ばれている。これが人間だったら「だ、大丈夫か!」と言いってあげたくなるなんとも怪しく危なっかしい液体だ。
簡単にいうと、海水の中でペンキが石鹸のように少しずつ溶けていき、貝や海藻などが着いても一緒に落ちてしまうというもの。
これを昨日磨きに磨いた船の底に二回ほど塗りたくりる。
プロペラはプロペラで「ペラクリン」というわかりやすい名前の塗料を塗る。
こちらは、シリコン系特殊合成樹脂系で、蓮の葉の表面 のように水を弾く性質があるため、海中生物が滑り落ちる! という訳も分からず、「おお、スゴい!」と納得する説明だ。
こちらも、6時間おきに下地処理+2回塗りで2日がかり。
塗るのは、どちらも普通のペンキと同じで、
(行きのバスに携帯電話を忘れ誰とも連絡できずに困る以外)特にドラマもなく無事に終了した。
お疲れさまでした。