海族便り~鰺ヶ沢港より~

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海族仲間のカツ、しげさん、オレ。
低気圧で荒れたこともあり、結局5日間三人でのヨット生活がむさ苦しくもアハハオホホと過ぎた。

明日はそれぞれが北へと進路をとる。

今夜はおじさん三人で涙と笑いのサヨナラパーティーとなった。
カツのリクエストで、豚しゃぶ鍋となり大量の肉と野菜、練り物がバカバカなくなっていく。
焼酎も2升でもつのだろうか。

海を旅し続ける僕らはやはり何かが響き合うのがわかる。
その何かは何だろうか?

陸とは違う何かだ。

委ねるだろうか?
任せるだろうか?
挑むではない。
掴み取るではない。

自分の意志を柔軟に力強く真ん中において、 委ねて任すが近いかな。

そんな話を肴に夜がゆったりとふけてゆく。

明日はそれぞれが北へと進路をとる。

本物はいいものだ、旅も友も。

海族便り~深浦港より~

海族仲間のカツと合流!
彼は長さ5m幅60cmのシーカヤックで日本一周の旅をしているたいした海バカだ。

去年は島根県で合流していて、一年振りになる!

こういった再会はたまらない。

文・石川仁

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撮影・森重公治

海族便り~象潟港よりパート3~

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出羽富士と呼ばれる鳥海山、象潟を東南に背負う。 酒田から象潟にむかった朝、山頂は厚い雲に覆われていたが、夕方になって顔を出す。
九十九島の散歩の帰りにヨットを出す。
沖まで出て、エンジンを止める。日本海は静かだ。舵だけとって、ヨットの舳先を鳥海山にむける。
アマナ号は、日本海まで裾野を大きく広げた 鳥海山に抱かれて、居心地よさそうだった。
翌朝まで鳥海山の全容が見渡せた。

安房葦船プロジェクト
吉良康矢

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海族便り~象潟港よりパート2~

かって遠浅の汽水湖と、無数の小島があっ た。 江戸時代後期の大震災で、海底が隆起し陸地 となってしまった、象潟九十九島。 いまは水田のなかに小島が残っている。田植 えの時期に水が張られたときは、往時の多島 海を彷彿とさせる。

象潟は奥の細道の最北の地で、松尾芭蕉は舟 で島をまわり、能因や西行が詠んだ歌枕の地 をたずねていた。松尾芭蕉のあとも、小林一 茶が訪れている。

「象潟の桜は波に埋れて花の上漕ぐ海士の釣 り舟」西行 「象潟や嶌がくれ行刈穂船」一茶

仁さんとチチカカ湖を葦船で一周したことの ある森重さんは、この風景をとても気に入っ たようだ。

安房葦船プロジェクト
吉良康矢